現在、白馬の家に大学生2人が2ヶ月近く泊まりにきている。2人と話しながら「おれの大学生活ってもう10年近く前のことかあ」と浸っていると、ふと昨今のスノーボード好きの学生がどんな生活をしていて、何を考えているのか知りたくなった。完全なる思いつきで、大阪府立大学3年生のナオキと奈良教育大学2年生のハルトにいろいろ質問をぶつけてみた。
スノーボードが大好きな学生の生活
お金の使いどころの見極め
リフト券・ギアの値上がりのトレンドの中で、一般的にはスノーボードを続けることが難しくなっている。金銭面でいうと、一番影響を受けていそうなのが学生だ。まずはリアルな懐事情を聞いてみた。
ハルト「僕はもうほぼ全部メルカリで揃えてますね。完全に全部がメルカリなわけじゃないですが、板は中古でもいいかなって思っていて、メルカリで買いました。ブーツだけはフィッティングとかいろいろあるので、妥協せずVANSのブーツを新品で買いました。大体ギアに10万ぐらいは使っていると思います」
ナオキ「型落ちか割引が使えるものを狙います。一度買ったら長く使いたくて、そこにこだわりがあるので、妥協せず、長く使えるものを買います。値段と真っ向勝負ていますね。完全にスノーボード中心の家計簿です」
2人とも妥協したくないところにはお金を使って、潰しがきく部分はできるだけコストをかけずにやりくりしているようだ。
ハルト「普通に遊ぶより、スノーボードが楽しいんですよ。オフシーズンは週4~5日とかでキングスに行ってましたし、それ以外にしたいことがないんです。とはいえ、友達とカラオケ行ったり、ビリヤードやダーツをするのももちろん楽しいですけど、それはたまにできたらいいかなって思ってます」
ここまでスノーボードに向き合える学生はそう多くはないだろう。
スノーボードにハマった理由
今の学生たちはどのようにしてスノーボード沼にハマっていくのだろうか。
ハルト「親の影響で昔からスノーボードには連れて行ってもらっていましたけど、今みたいに『上手くなりたい』という感情はありませんでした。高校生の時に、友達と滑りに行くようになって『こいつらより上手くなってかっこいいところをみせたい』という感情がでてきて、そこから自分でYouTubeで動画を見るようになりました。大学生になった時に、友達にShuffleのことを教えてもらって、そこから仲間も増えました。スノーボードの爽快感というか、できなかったことができるようになる達成感がたまらないっす」
ちなみに一番参考にしているライダーは山本 凌(ヤマモト リョウ)だそうだ。
滑走日数の稼ぎ方
ハルト「テスト終わってから学校が始まるまでの間の春休みの期間で、スキー場に籠もろうと思ってました。籠もると言っても、いろいろなパターンがあるんですが、普通のリゾートバイトで週4~5日働いてお金を稼ぎながらだと、どうしても滑る時間が限られてしまうので、一番滑る時間を捻出できそうなHAKUBA47のボランティアディガーとして籠もることを選びました。HAKUBA47のパークはクオリティがすごく高くて、そこディガーとして働けるってそもそもかっこいいなっていうのもありましたし、実際すごく滑れてるので調子いいです」
この先、社会人になってからどのようにスノーボードと付き合っていきたいのかも気になったので聞いてみた。
「ずっとスノーボードは続けたいと思っています。なので、シーズナルワーカーで冬は冬、夏は夏の仕事に就ければいいかと思ってたんですけど、そのことを父親に言ったらあまり賛同されなくて笑『せっかく教育学部に入ったんやから、先生になるかプログラミングとか飯が食えそうなことをやるんだ』って言われました。まだまだ試行錯誤中なんですけど、籠もりながら隙間時間にプログラミングの勉強はしています」
父親の意見をちゃんと聞き入れる素直さが素晴らしい。
シーズン中の目標
2人はオフの期間は大阪キングスで熱心に練習をしている。きっとシーズン中に何かやりたいことがあるだろうと思い、それも聞いてみた。
ハルト「今年メイクしたいのは、バックサイド720、アンダー540です。キングスで一番練習したくらいの技なので、それができたらもう帰っていいかなと思ってます笑 あとは先輩たちを越えたいと思っていて、得意を伸ばすというよりは苦手なことも全部会得して、全局面で圧倒できるようなスノーボードがしたいです」
ナオキ「バックサイド540と、スタイルのあるバックサイド180。ただ回るんじゃなくてスタイルで差をつけたいです。昔、先輩に『お前だけのスタイルを出せ』って言われてその言葉が残ってるんでその通りに表現したいです」
昨今の大学生の動向
大学生の情報源はInstagram
既に10年くらい前からウェブでの情報収集が主流であったが、今の学生はどういった情報を基に判断をしているのだろうか。
ハルト「インスタのリールとかで流れて動画を見て『この人すごい、誰やろ』みたいな感じで調べてます。それで言うと山本 凌君がすごいと思って見始めて、QuiksilverとかVANSとかLIB TECHとかそういうブランドを知りました]
───道具選びのこだわりとかはある?
「人と被らないものを身につけたいです。あとは値段が現実的かどうか、それくらいです。結局見た目が大事ですけどね。見た目のかっこよさ重視です」
大学生はスノボ旅行に行くのか
スノーボードサークルに在籍している彼らは当たり前にスノーボードに意識が向いているだろうが、世間的に一般の大学生はスノーボード旅行に行っているのかが気になった。大人でもガソリンや物価が高くなっていて続けるのが難しいのだから、一般の学生にはハードルが高いレジャーになっていそうだ。
ハルト「みんな行きますよ。Instagramのストーリー見ていても、みんなスノーボード行ってる感じがします。でも、俺は誘われてもあんまり行きたくないですね笑 一緒に滑るのは楽しいかもしれないですけど、上手くなりたいし、パークで滑りたいし、できるだけ上手い人と滑りたいと思ってます」
ナオキ「好きの深さに関わらず、スノーボードは好きって言ってる子は多い印象です。『余ってる板ない?』とか結構聞かれます。滑りに行きたいって言われたら『白馬にきて〜』ってお茶を濁しています」
ハルト「グラトリ好きっていう子は多いですね」
彼らのスキルで同行すればチヤホヤされるだろうが、そういうことには興味がないようだ。
大学生スノーボーダーが言いたいこと
ハルト「世の中の大学生には『ほんまに大学生活楽しんでるのか?適当に集まってお酒飲むだけって、それでほんまに楽しんでんのか?』って言いたいです笑 スノーボードやってると目標があって仲間もいるし、バイトとかも頑張らなあかんなって思えて、ほんまに楽しいです。ライフスタイルの一部になってるなっていう実感があります。今が一番楽しいって胸張って言えます」
ハルトのアルコール度数高めの酎ハイが1本空いていた。
スノーボードからの学び
これだけスノーボードが好きな学生なら、何かしらスノーボードから学んだこともあるだろう。
ナオキ「強い気持ちを持つこと。攻めるときに攻めておかないとその時はもう来ないみたいなマインドです。『攻めないとあかんな』って思ったときが攻めるときなんやと思います」
───それを今までの人生で活かしたことはある?
ナオキ「まだ活かせてないんですよ。あと、周りの人がどうこうではなくて、自分が楽しむことが大事なんだとも学びました」
真面目なスノーボードの話しかしてくれないので、ちょっとお酒が入った2人に「なんでもいいから最後に言い残したことないの?」と聞いてみた。
ハルト「余裕のある男を目指したい。女性に媚びない。でもエッチしたい」
ナオキ「スノーボードたのしい〜、滑ってて楽しいっていつもなってます」
昨今の大学生も変わらず馬鹿だったようで安心した。