プロスノーボーダーとアイリストの2刀流をテーマに、様々なことに挑戦している高橋あおいさん(以下、あおいちゃん)。競技者として大会を転戦し世界大会に出場した経歴のある実力者ですが、それでもスノーボードだけで食べていくのは難しい現実がありました。後編ではプロスノーボーダー×アイリストというキャリアになっていった経緯や今後どんな形でスノーボードを続けていこうと思っているのかを語ってもらいました。
241:ここからはライダー活動と仕事の両立について詳しく聞いていくね。
スノーボード意外にも好きなことを見つける
Q:世界レベルの選手でもスノーボード一本で生活していくのは難しいという現実を目の当たりにして、実際に行動に移したことはあった?
専門学校に行ったことです。高校卒業してから、美容の専門学校に行って美容師免許を取りました。スノーボーダーって好きなことを突き詰めるのが好きだと思うので「好きなことじゃないとやりたくない」って人が大半だと思ってます笑。だから、自分もいざ働くとなると「好きなことじゃなきゃできない」って思ってました。そう考えた時に、スノーボード以外で興味があることは美容だったので「資格があれば通用するだろう」と思って専門学校の道を選びました。
241:自分のお店を開くところまでイメージできてた?
あおいちゃん:こんなに早くその時が来るとは思ってなかったんですけど、一応イメージはしてました。
Q:高校生の時にイメージしてたことと専門学校卒業後の現実で違った部分ってあった?
実は資格取ったら終わりだと思ってたんです。看護師さんみたいな感じで「資格さえあればどこでも働けるだろう」って思ってました。なので、とりあえず専門学校を卒業したら大丈夫だろうって甘く見てたんですけど、実際は技術職なので資格があればいいってものじゃないんです。なのでキャリアを積まないと現場では使えない人材になので、資格取ったらすぐに働かなきゃいけないっていう風になるのは思ってたのとは少し違いましたね。
241:なるほど、スノーボードと一緒でスキルを磨かなあかんかったんや。
あおいちゃん:ほんとにその通りでそんなに甘い世界ではなかったです。
Q:専門学校卒業後はすぐに就職したの?
はい。まつ毛サロンで2年半くらい働いてました。そもそもスノーボードのライダーを続けながら専門学校を卒業するっていうことをやってる人があまりいなくて、周りの人からも「学校言ったら滑らなくなるよ」って言われてました。だからライダーを続けながら絶対卒業しようって思ってましたね。
241:もし専門学校行ってなかったら他にイメージしてたことはあった?
う〜ん。大学にいくか、バイトしながらライダーを続けるとかですかね。でもそれが嫌だったんですよね。大学に興味がなくてフリーターも微妙だなって。
241:意外っていったら失礼なんだけど、先のことを結構見据えて動いてくタイプなんだね。
Q:それって誰かの影響とかあったりするの?
スノーボーダーでは自分のモデルになる人があまりいなかったんですけど、親が公務員っていうのがあって、そこは基準になっていました。あとシングルマザーっていう家庭環境もあって、先のことは見据えたいなっていう性格になりましたね。
241:話を聞けば聞くほどしっかりしてるね。
自身のサロンをオープンするためにクラウドファンディングに挑戦
Q:サロンをオープンするにあたってクラウドファンディングに挑戦してたけど、どうだった?
「この日にサロンをオープンしよう」とかは全然決めてなかったんですけど、たまたまいい話が自分のところにきて「やるしかない」って始まったんで、自己資金がそんなにありませんでした。そこでどうしようかと考えた時に他のスノーボーダーがクラファンやってたのを思い出して「やってみよう」と思ったのがキッカケです。結果、約55万円も支援していただいて嬉しかったです。そんな金額になると思ってなかったんでビックリしました。
Q:クラウドファンディングを終えてみて学んだことはある?
やらないよりはやってみた方がいいということですね。わたしは基本的にネガティブなので「誰からも反応がなかったらどうしよう」って思ってたんですけど反響があってよかったです。集まった支援額から手数料を支払うので、掲載する自分たちはノーリスクで挑戦できるところもいいです。あとは支援者さんからのメッセージもかなり励みになりました。
今後のライダー活動について
Q:これからは自分のサロンをやりつつ、ライダー活動を続けることになると思うんやけど動きのイメージは湧いてる?
完全にゼロからの集客になるので、ビジネスとして軌道に乗せられなかったらやめるしかないなっていうのは思ってます。
241:どっちをやめるの?ライダー?お店?
あおいちゃん:お店です笑。ライダーはやめないですね。
あおいちゃん:わたしは「長くスノーボードを続けたい」っていうのが根本にあるので、仕事とかお金が理由でやめるっていうのは嫌なんです。好きでやってることだからこそ続けたくて、いかに自分が自由にスノーボードとかサーフィンして生きていけるようなライフスタイルを確立していけるのかっていうのをテーマにしています。
資格とキャリアがある程度あれば就職先はあるはずだし、気持ち的にはチャレンジできる状態です。サロンのオープンでやっとスタートラインに立てたと思うので、自分らしく時間をコントロールしてスノーボードの活動をもっと充実させたいです。これは1つの挑戦なので上手くいけば最高だし、いかなければまた1つ戻って考えます。
241:話を聞いてるとほんとに生粋のスノーボーダーなんやなあ。スノーボードの活動を充実させるためのサロンなんやね。
Q:今後はどんなライダー活動をしていきたい?
最初にも話したんですけどお客さんとセッションしたり繋がるのが好きなので、レッスンや、積極的にイベントに参加したりしてお客さんとの接点を増やしたいです。競技の大会には興味ないですけど、スノーバンクとかSBMみたいなイベントには出場して活動の幅を広げていきたいです。
Q:スノーボードを通して人と関わるのが好きなのはどうして?
昔、自分がライダーさんに教わった時に楽しくて「スノーボードをもっとやりたい」ってなったので、そういう体験を広めていきたいです。上手くなる手助けだったりとか、スノーボードをやってみて楽しかったとか新しい友達ができたみたいなキッカケを作れたらいいなって思います。
241:大事なライダー活動だよね。
あおいちゃん:わたしは見た目的なかっこよさを貫くタイプではないので、お客さんと仲良くなったりとか話しかけやすいライダーとして親しまれたらいいなあと思っています。
241:お客さんとのコミュニケーションあってこそだと思うし、親しみやすいライダーって大事な存在だよね。
お店の目指すスタイルと伝えたいメッセージ
Q:サロンもそれぞれスタイルが違うと思うんやけど、あおいちゃんはどんなお店を目指してるの?
スノーボードとかスポーツをするお客さんをターゲットにしていきたいなとは思ってます。スポーツする方ってメイクがすぐに落ちちゃうから薄くしてる人とかも多いと思うんですけど、そういう人にも美容を楽しめるような提案をしていくサロンにしたいです。自分がスポーツをしている視点を大事にしたいですね。来てくれた人がそれをキッカケにレッスンにも来てくれたら嬉しいです。
Q:今シーズンはどこに行けばあおいちゃんに会えるの?
神立かアルツ猫魔にいると思います。基本はジャンプとジブをやりたいなと思ってます。
Q:あおいちゃんの下の世代でスノーボードやってる知り合いも多いと思うんやけど、先輩として伝えたいメッセージとかある?
社会人ライダーとして活躍してる20代前半ってまだあんまりいないと思います。競技を高校生とか大学生までやってて、その先を悩むことっては絶対あると思うので、1つのライフモデルとしてわたしのことを見てもらえたら嬉しいです。「仕事のためにスノーボードをやめなくてもライダーとしてやっていけるよ」っていうのを伝えていきたいです。これはほんとに意識して行動してますね。
241:素晴らしいね。スノーボードが好きであればあるほどぶち当たる悩みだと思うからあおいちゃんのスタイルや考え方がもっと知られたらいいなと思うし、それを届けるのがおれの役割だと思うよ。