インタビュー

「欲しい暮らしは自分たちで作ろう」幸せのカタチを決めるのは自分自身┃"生活冒険家"赤井成彰インタビュー 後編

2022年5月17日

北海道大学のスノーボードサークルの繋がりで出会った赤井成彰(以下、ナル)は、トラックの荷台に家を作って住んでいます。Part1の前編では脱サラして自作したモバイルハウスで生活するようになった経緯や自分で”動く村”を立ち上げたことについて詳しく話を聞きました。

後編ではお金のリアルな話やスノーボードから学んだことを話してもらいました。

241:前編ではどんな生活してるかは分かったんやけど、どうやってマネタイズして生活してるかのイメージが全然できひんかった(笑)そのあたり詳しく聞きたいな。

お金に関してどうやって工面して生活してるの?

モバイルハウスのワークショップと映像制作編集をメインの仕事にしてる。あとはモバイルヴィレッジぼちぼちから毎月5万円もらってるんよ。なんで月5万円なのかっていうと、モバイルハウスでの暮らしは月平均で5万円あれば生活できるってことが分かったんよ。生活冒険家を名乗ってるから、めちゃくちゃ細かく家計簿はつけてるねん。

まあやれば全然稼げるんやけど、5万円稼がないといけないプレッシャーでモバイルヴィレッジぼちぼちの活動がチープになってしまったら嫌やなって思って、ある種ベーシックインカムの実験みたいな感じで5万円をもらっとるよ。気持ちの面でそれは結構大きくて、暮しの担保があるから自由度高くいろんな活動ができてる。5万円稼がなあかんと思ってキッチンカーとかモバイルハウスどんどん作らなきゃってなるとストレスになってくるし、そういうことをしなくてもいいっていうのは自分の心の余裕と幸福に繋がってるかな。

241:月5万円か〜、おれ全くその額では生活できひんな〜。

とりあえずこの生活スタイルを当面続けていく感じなの?

それでいうと今、新しいフェーズに入ってきてる。彼女と子ども2人と暮らそうと思うと、4人で最低20万円くらいはかかるなっていうのが見えてるねん。もちろん2人で稼ごうっていう前提ではあるんやけど、ついに5万円では暮らせないフェーズに入ってきたなっていうのはある。ほんで色々考えた結果、逆に家を買おうとしてるんよ。「動くモバイルハウスに住んでた人、ついに家を買う」って感じ(笑)

やっぱりそこはライフステージに合わせて変化させていくものなの?

ん〜、そやねえ。自分一人の時とは違ってきてるからね。その時々で、自分にとっての幸せってなんだろう、自分にとっての一番いい暮らしってなんだろうっていうのをやり続けるのが”生活冒険家”だと思ってる。僕のライフステージが変われば、自分の幸せの形も当然変わってくる。そのタイミングで暮しも変えていく。まあ当たり前のことを言ってるかもしれないけど、そうやと思ってるし、人類みんな生活冒険家なんよ。

241:人類みんな生活冒険家か〜、たしかにおれもどちらかというと冒険家かもしれんなあ。おれも状況は違うけど、スノーボードが変わらず好きでさ。今の状況を大きく変えずに白馬に住んだろうと思ってそういうことをやってみたりしたな。なんかおれはそういうのをスノーボードから学んだなあとは思ってる。

今の生活になるまでにスノーボードから受けた影響とかあった?

2つあるよ。1つ目は自分のスタイルをもつことがかっこいいということやね。それはかなりでかい。スノーボードに出会うまではなんとなく作られた流行りみたいなことに乗っかってて、それがいいみたいな感じでしか生きてなかった。カナダに行ったのが自分ではでかい体験で、みんな自分が何が好きって言ってるのがいいなって思った。自分のかっこいいスタイルを持つことってほんまに大事。自分軸であることってめっちゃ大事やなって思ったのがスノーボードから受けた影響の1つやね。

カナダでの経験

2つ目は、とりあえず一歩踏み出すってこと。北海道で地形遊びしてて「あの地形いけそうじゃね?」ってなったら大体「最初誰行く?」ってなるんよ。自分は結構いじられキャラなところがあるから、よく選ばれてた。まあ断ったらダサいから、いくんやけど実際は怖がってて初めの方は全然着地できひんかったな。

飛ばされるナル

クリフって先まで行かないと下が見えん。見えないって怖い。でもいっちゃうと「あれ?こんなもんか」みたいなことが多くて案外いけるねんな。そこで学んだのは、恐怖って結構思い込みやなっていうこと。この感覚をスノーボードから実体験として感じれたのは大きかった気がする。サラリーマンも辞めてから考えよう、コミュニティも作ってから考えようみたいに思えたのはスノーボードのおかげだね。

241:たしかに俺が出会った北大のスノーボーダー達は飛んでから考えて生きてるやつらが多い気がするわ。それでいうとナルは最近スノーボードは出来てないっしょ?

ナル:脱サラしてからは行けてないね。でも道具はまだ実家にあるよ。唯一手放せなかったのがスノーボードとサーフボード。

241:バイブスが生き残ってるやん。

スノーボードの繋がりは深い

生活冒険家として伝えたいメッセージってある?

「欲しい暮らしは作ろう」って言ってる。暮らしのDIY。世間が言う「これがいい」という偶像に振り回されるんじゃなくて「自分の心地よさってなんだろう、自分がなんかいいと思えることってなんだろう」みたいなことを考えてトライ&エラーしていくことがいいんじゃないかな。それが幸せな道のりっていうか、いい人生を送る道なんじゃないかと思ってる。欲しい暮らしが目の前にないんだったら「作ろうぜ」っていうことを言いたいな。

241:たしかに。一見難しそうに思えるけど、実際にやってみると思ってる以上にシンプルなことなのかもしれないね。

脱サラしたい人とかから結構相談されたりするでしょ?

そうだね。「まあ死なないよ」ってのは毎回言ってる。死ぬの難しいぞって(笑)。生活の水準とかクオリティは下がったりするけど、死にはしない。なにが良いかって人それぞれだからね。その人がOKって言ったらそれって最高だからさ。自分がやりたいことやればいいのよ。

テレビ番組のザ・ノンフィクションでも特集された

次は伊豆で古民家を3軒買おうとしてるよ。1個は家族用。1個はぼちぼちの仲間が遊べるフィールド用、1個はシェアハウスを運営しようと思ってる。

241:大胆に動くねえ、尊敬する。こうやってナルは、また新しい生活を作っていくわけですね。

ナル:人類みんな生活冒険家、死ぬまで冒険やで!

参考

インタビュー前編
  • この記事を書いた人

Takahiro241

年間滑走100日の横乗りLOVER。スノーボード歴15年、サーフィン歴3年、スケボー歴8年。ランニング、サッカー観戦、カメラなど趣味が多いです。

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