インタビュー

スノースクートで目立つんじゃなくて、技のヤバさで目立ちたい┃小栗貴大が体現するライダー像とは

2021年12月10日

スノースクートの人口はまだまだ少なくて、ゲレンデでは一際目立ちます。この数シーズン、自分とよく一緒に動いているのがスノースクートのライダーの小栗。彼は日本に3人しかいないスクートライダーの1人です。スクート担いでスノーボードイベントに現れて、場の空気を全部持っていくスタイルは見る人を引きつけます。そんな彼も普段はサラリーマン。仕事とライダー活動を両立させながら自身のスキルを磨き続ける、スノースクートライダー小栗を今回はフィーチャーします。

スノースクートライダーの小栗貴大(撮影:@seijirara

小栗のことをゲレンデやSNSで見かけてる人は多いと思うけど、普段は何してるの?

普通に平日は8時から17時まで現場の仕事をしてる。だから仕事が終わったらその現場の帰り道にあるスポットとか練習できるところでBMXしたりオフトレをしてるよ。シーズン中は、天気予報見てパウダー当たりそうな日に有給とったりしてるから普通のサンデーボーダーと動きは同じかな!

そもそもの話なんだけど、スノースクートもパウダーの日を選んで行くの?スノーボードなら分かるんだけど。

スノースクートもパーク用とパウダー用があって、パウダー用のスノースクートならスノーボードと同じように浮力を得られるのよ。

241:へー、じゃあマインド的にはスノーボードとほぼ同じなんだね。

撮影:@ryo.ob

スノースクート始めたキッカケはどんな感じなの?スノーボーダーからするとどういう入りをしたのか気になるよね。

中3からBMXをやっていて、その延長という感じだったかな。近所の自転車屋さんにマウンテンバイクを買いに行ったんだけど、そこにBMXが売っててそっちにしたんだよね。実はその自転車屋さんがマツイサイクルってところで、BMX界ではパイオニア的なお店だった。そういう出会いで、まずはBMXライフがスタートしたね。

241:なるほど、先にBMXから入ったのか。

BMXの小栗(撮影:u_ya1115

BMXは継続的にやっていて、アパレルのスポンサーも付いてる。特に学生時代は「BMXで日本を一周する」っていう企画を計画した。夏休みに実家の名古屋をスタートして北海道の先端までいって電車で帰ってくるみたいな。それを何回かに分けてやって、日本地図を一筆書きできるくらい回ったよ。それで全国のBMXライダーに存在を覚えてもらったね。とりあえずどこでも第一声は「名古屋から来ました!」みたいな感じで入って、そしたら「噂は聞いてるよ」みたいな笑。今でもその繋がりは大きいよ。

241:もうその頃からわりとぶっ飛んでたんだな。さすがだわ。

日本一周中の小栗

BMXがすげえっていうのは分かったんだけど、スノースクートとはどうリンクしていくの?

スノースクートを始めたのは23歳の時。BMXでお世話になってたマツイサイクルがスノースクートの代理店もやってたのよ。買った経緯は誰にも話したことないんだけど、当時バイクで事故ったのがキッカケで笑。

241:事故がキッカケ?

ほぼ10:0で自分は全く悪くない事故で、思ったよりも保険金がもらえたのよ。ちょうど、その保険金の審査結果の電話がかかってきた時に、マツイサイクルでちょうどチルってて。「保険金入ったし、なんか買いたいな」っていう安直な考えで、目の前に置いてあったスノースクートをその場で買ったのがキッカケだわ笑。

241:バイクで事故ってなかったら今のスノースクート小栗は居ないかもしれないんだな。

スノースクートはすぐにハマったの?

最初は全然できなかった。はじめて連れて行ってもらった日をよく覚えてるんだけど、めちゃパウダーの日だったなあ。とりあえず山頂まで無理やり連れて行かれて、降りろってことになったんだけど、初心者の自分は埋もれるだけで全く降りれなくて。それがすごく悔しくて燃えたんだよね。

そこからライダーになるまではどんな感じだったの?

その悔しい思いをした翌年からダイナランドに籠もり始めた。24歳の大学6年生(留年)で、就職先は決まってたので「今しかねえだろ」と思って。そこでスキルは大きく伸びた。振り返ってみると、14-15シーズンにスノースクートをやり始めて、スポンサーがついたのが18-19シーズンなので4-5シーズンでライダーになったという感じだね。

241:デビューからライダーまでめっちゃ早いね、さすがだわ。

HAKUBA47(撮影:@ryo.ob

スノースクートのライダー活動ってどんなことをしてるの?

スノースクートって歴史はまだまだ浅いから、製品のフィードバックはずっとしてるよ。あとは試乗会と体験会も毎年やってる。奥さんの手助けを借りながらだけどね笑。

真面目な話、俺みたいな社会人がサポートしてもらってるのは自分でも奇跡だと思ってるから、その恩返しは常にしたいと思ってる。試乗会は現ユーザー向けで、体験会はスノースクートを乗ったことない人に向けてやってる。色んな人と滑った時に「貸して!」って言われることが多くて、試せるような機会を提供したいと思ったんだよね。ダイナランドはスノースクートをレンタルしているので、体験会からの流れでレンタルして、ユーザーが1人でも増えたらいいなあと思ってやってる。ちなみに俺がメンテナンスしてるから状態は間違いないよ!

241:ライダーとしてスクートの普及活動もしていてさすがだね、本当にリスペクト。

スノースクートのブース

おれも小栗も今年で30歳になったわけだけど、今の滑る原動力というかモチベーションって何なの?これ同年代のライダーにはいつも聞きたくて。

んー、昔からあんまり変わってないんだけど、出来なかったことができるときの嬉しさとか、達成感を追い求めているかな。そこに自分は快感というか気持ちよさを感じるんだよね。あとは30歳からマジで調子がいいのよ。吹っ切れたんだと思う。若い子は若い子で頑張ってていいねえー、みたいな?いい感じに力が抜けてきたよ。

241:たしかに吹っ切れた感はあるよね。もう長所伸ばすしかないし笑。

スノーヴァ羽島での1枚(撮影:u_ya1115

スノーボードのイベントにスクートで現れて、その場の注目を全部持っていってる気がするんだけどどういうバイブスで挑んでるの?

そもそもスクートの大会が少ないから、参加させてくれる主催者にはいつも感謝してる。アウェーでもみんな挨拶すれば友達と思ってるのもあるけどね笑。あとは、せっかく来たんだから盛り上げようっていうのは常に頭にあって、前はスノースクートで滑ってりゃ勝手に目立つと思ってたけど、今はその場でやったことがヤバいから目立ちたいと思う。

241:おれはそのメンタルすごいと思うな。一人だけスクートだと注目浴びたくなくても、みんな見ちゃうし。トリックで目立ちたいってところは一緒にやってて感じるね。とりあえず結構攻めるやん?スノーヴァ羽島のDirty Pimpのトランスファーはマジでやばかったよね。

あれは怖かったけど、これ決めたらやべえだろなっていうのしか頭になかった。

241:やっぱそういう姿勢がいいよね。おれから見た小栗って、スノーボーダーもスキーヤーもみんなリスペクトしてるイメージがあって、カテゴリ関係なく姿勢として好きだと思うな。

北海道のパークエアーにもスクートで参戦した

スキーヤー、スノーボーダーのスタイルは参考にしてるの?

トリックのベースはBMXからの派生トリックが多いけど、スキーヤーのグラブを真似したり、いい影響を受けてるよ。スノーヴァ羽島の8931くんのトランスファーとかはインスピレーションもらったよね。スタイルというか前述のパウダーの話にも関わるけど、今年はスノースクートの滑りの幅を広げたいと思ってる。

スキーヤーとのセッション(撮影:@satoshi.saijo

今シーズンはどこに行けば小栗に会える?

今年もダイナランドのライダーだから、基本は岐阜の奥美濃にいるよ。ダイナランドで1月にスロープスタイルの大会の企画もしてるしね。ダイナスロープスタイルは毎年できるだけ続けていくつもりをしてる。

今シーズンの話とは関係ないんだけどスノーヴァ羽島が閉館になるのは本当に痛いね。オフシーズンどこで練習すればいいんだよって思ってる。

241:スノーヴァ羽島が無くなったのは本当に残念だよなー。

ダイナランドでの1枚(撮影:Naoki Gaman)

最後に世の中の社会人ボーダーに一言あったりする?

んー、そうだな、結婚はいいよー!!

奥さんとはダイナランド籠もってる時に出会って結婚4年目。夫婦で猫をなでてるときが幸せかな笑

ちゃんと滑りのことも話すと、有給を上手く取る方法は編み出しておいたほうがいいよ。段取り力と根回し!あとは休日前にどれだけ残業しないか。水曜日くらいから週末ははじまってると思ったほうがいいね。

小栗夫婦①
小栗夫婦②
小栗夫婦③
241と小栗(対抗)

ダイナランドで小栗を見かけたら気軽に声をかけてみてください!きっと気さくにリアクションしてくれるでしょう。

小栗貴大20-21シーズンフルパート

  • この記事を書いた人

Takahiro241

年間滑走100日の横乗りLOVER。スノーボード歴15年、サーフィン歴3年、スケボー歴8年。ランニング、サッカー観戦、カメラなど趣味が多いです。

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