「ずっと待っていたチャンスが来た」爺ヶ岳スキー場のパークが本物である理由丨中村航大”Cody”インタビュー

秋頃、爺ヶ岳スキー場が今年からパークの営業を始めるということをSNSで知った。爺ヶ岳スキー場というと「小さいファミリーゲレンデ」というイメージの人も多いだろう。そんなパークとは無縁に思われるような場所でプロジェクトを動かしていたのは、白馬エリアを中心にパークやストリートを主戦場にしている中村航大(以下、Cody)だった。彼と知り合ったのは5〜6年前で、文字通りスノーボードが上手い。個人的には隠れ最強ライダーだと思っていて、周りにも推している。パークディガーとしてのキャリアも長く、そんな彼が作るパークなら間違いないと思い、大きな期待を胸に爺ヶ岳スキー場に足を運んだ。

“スノーボードが上手い”とはまさに彼のことを指す

──いきなりやけど、まずは今シーズンから始まる爺ヶ岳スキー場のパークについて簡単に教えてほしい

Cody:ジャンル関係なく全てのスノーボーダーが来て楽しめるパークを作りたいと思ってる。ここでいうジャンルというのは、パークの初級・上級とかではなくて、カービングとかフリーライドという意味。常設でボウルを作るから、スノーサーフ系の白馬の仙人みたいな人たちも来てくれたら嬉しいんだよね。GENTEMSTICK好きの方々とかにも楽しんでもらえるようなイメージでパークを作りたい。そうやって様々なジャンルの人が来てくれて、カービング主体の人たちも楽しめたら『マジで爺ヶ岳のパークってピースじゃん!』ってなると思うんだよね。そういう世界観を今シーズン、爺ヶ岳スキー場で表現したいし、それが一番の目標かな。

爺ヶ岳のパークについて余すことなく語った

241:爺ヶ岳スキー場にそんなパークができるなら、おれも周りの知り合いをたくさん連れて行きたいわ。GENTEMSTICKに乗ってるスノーサーフ系の友達がちょうどいるんだよな笑

ファミリーゲレンデがパークを始める理由

時代に逆行した、あえての戦略

───爺ヶ岳スキー場にどうしてパークができることになったんだろう

Cody:パークの話が回ってきたのは今年の夏くらいかな。爺ヶ岳スキー場自体はパークをずっとやりたかったらしいけど、でも実際にやれる人は見つけられていなかったみたいで、今年たまたま自分に話がきた。おれも今年どこのパークで働こうか考えていたタイミングだったから、ちょうどよかったんだよね。

241:どちらかというとパークって縮小傾向にあると思うけど、それは攻めた判断だね。

Cody:爺ヶ岳スキー場は白馬バレーの他のスキー場と規模で勝負できないから「特定の分野に特化する必要がある」って言ってて、ファミリーゲレンデとしての強みをアピールしつつも、それだけでは面白くないから、時代の流れと逆行して「あえてパークに力をいれてみたい」って聞いたなあ。

241:それを航大が中心になって取り組むってのはワクワクするわ。

写真左:プロジェクトのキーマンだった爺ヶ岳スキー場の屋田さん、写真右:Cody

───”爺ヶ岳スキー場・パークプロジェクト”の全体感を教えてよ

Cody:2023年の夏頃からはじまって、8月・9月で中身を担当者と話して決めて、10月頃からアイテムの制作に入ったかな。全体で4-5ヶ月のプロジェクトになるね。

241:どんなことを担当者と話してたの?

Cody:おれの中で完全にTrollhaugenのパークのイメージだった。ロープトウで上がって短いスロープでヒット数が多いやつね。「そういうことをやってもいいですか?」って話した。

Trollhaugenは爺ヶ岳のように小規模のスロープだ丨引用元:https://snowbrains.com/trollhaugen-1st-chairlift-north-america/

───プロジェクトが始まって順調に準備は進んだ?

Cody:話したようにイメージを伝えるところから始まったんだけど、話していると爺ヶ岳スキー場がおれらの想像の3倍くらい提案を逆に持ってきてくれたりして、すごく前向きだったんだよね。打ち合わせが終わるたびに「なんか規模デカくなりすぎじゃない?」みたいな。おそるおそる「ダブルダウンとか置いていいですか?」って聞いたら「全然置いちゃいなよ!」みたいなやりとりもあったりして笑。

最終的に「パークは任せるよ」って言ってもらえたから、そこから作りたいものを全部作っちゃおうという流れになった。リフト丸々一本分をパークとして好きにやれるようになったし、降雪機もパークに集中的に配置してくれる体制になってるんだよね。

241:なんか聞いてるだけでハンパなくテンション上がっちゃうな。

Cody:溶接作業ができる作業場も提供してもらったから「擦りたいアイテムを自分で作れる」っていう最高の環境が整ってる。

爺ヶ岳スキー場内にある製作場

───新しいアイテムは航大(Cody)が製作したの?

Cody:そうだよ。工業高校を出てるから、なんとなく使い方は知ってたし、そもそもモノづくり好きだし。

241:何個くらい作ったの?

Cody:17個くらいあるよ。鹿島槍のアイテムは2つ買い取ってリメイクしてある。

241:17個!?想像よりも多いね。

鹿島槍スキー場のレールは爺ヶ岳で息を吹き返した

───ハイシーズンはスロープにどのくらいの数のアイテムが並ぶの?

Cody:キッカーとかも合わせたら20個以上になると思う。

241:このスロープの規模に20個ってハンパないね。

Cody:さっきも軽く話したけど、理想は海外のロープトウで回せるパークみたいな感じで、ゲレンデのどこを見渡してもパーク滑ってる人がいて、リフトから見てても飽きないっていう空間を作りたい。地形も人工物もミックスして敷き詰めたいのよ。

このオレンジのアイテム達が敷き詰められた景色を見たい

───随所にこだわりを感じるけど、その中でも一番こだわって作ったアイテムはどれ?

Cody:間違いなくダブルダウンのレール。キンクの角度をすごくこだわって作ってる。ダブルダウンってエントリーするのが怖いじゃん。だからゆるい感じのダブルダウンを作りたかったんだよね。爺ヶ岳のダブルダウンで自信をつけて、他のスキー場のダブルダウンに挑戦できるようになったら、めちゃくちゃ嬉しい。

241:キンクの角度っていう話があったけど、具体的にどこかのダブルダウンをイメージして作ったの?

Cody:いや、一番は俺の感覚かな。またTrollhaugenの話になるけど、あそこのキンクレールって日本には無い角度に見えるんだよね。トリプルキンクでもやりやすそうだし。そういうイメージしたレールを自分の手で生み出すことができて満足してる。

241:早くダブルダウンを置けるくらいの雪が降ってほしいね。

パークの安定稼働を支える最新の降雪機

圧倒的な雪の供給

Cody:爺ヶ岳スキー場の人工降雪機は最新鋭だから、気温さえ下がればいくらでも雪を増やせるはずなんだよね。マイナス8度まで下がれば一晩で人の高さくらいの雪山ができるし、マイナス15度くらいまでさがればリフトの支柱くらいの高さの雪山ができる。このリフト1本分、そのレベルの降雪機が設置されてるから気温さえ下がればどんどんパークリメイクしていけるはず。

最強の降雪機

241:それはすごい話だな。規模が小さいスキー場だからこそできる強みかもしれない。

Cody:雪が作れれば地形の造成に力を入れて常設でボウルも作るから、楽しみにしててよ。

───降雪機のおかげでパークがフルオープンになる時は、どんな楽しみ方ができそう?

Cody:初心者・上級者問わずに楽しんで練習できるパークにしたい。見た目はイカつくても入ってみたら意外と優しいみたいな。リフトが短いから何回もヒットできるし、それぞれが出したいスタイルをだせるようなパークだね。

241:爺ヶ岳スキー場の全面バックアップがあるから、雪があればCodyのイメージを全部具現化できるわけだ。

───爺ヶ岳に作りたい、航大なりのヤバいパークのイメージがあれば教えてほしい。ライダーとしての表現に近い部分かな

Cody:パークの最後にボウルを常設で作る予定があるから、そのボウルをいくつも作ってHOLY BOWLYみたいな感じのパークを作ってみたい。そのボウルの地形に合わせてジブを設置して『HOLY BOWLY+ジブパーク』みたいな形のオリジナルパークを作るという裏目標がある。

241:本家を越えちゃうくらいのインパクトを出したいね。

引用:Holy Bowly – Sunshine Village – 2023 by Snowboy Productions

Cody:マジでやりたいんだよね。Snowboy Productionsがやってるようなイメージで。

241:全員がファンに楽しめるけど攻めれるやつはエグい攻め方ができる系のやつだな。

引用:Tales From The Village – Sunshine Village – 2023 by Snowboy Productions

ファミリーゲレンデに本気のパーク

プラスの影響はあるか

241:爺ヶ岳スキー場はファミリーゲレンデっていう側面もあるわけやん。ファミリーがいっぱいいるのに、ゴリゴリのパーク愛好家がいっぱいるっていう、一見相容れなさそうな2つの属性がこの小さいスキー場にいるのっておもしろいよね。

Cody:導線として危なくないような住み分けはあるけど、一番最高なのはセンターハウスの前からパークが全部見渡せることかな。

241:センターハウスは正面の一つだけなんだね。あの正面から航大が作ったパークを一望できるのはインパクトありそう。どんな影響があるか分からないけど、中学生・高校生ぐらいの子が遊びに来ててたまたまパークで滑ってるかっこいい人を見て「あれやってみたい」みたいな感じになったら最高だよな。

Cody:数年後、またこっち側に来てくれたら一番嬉しい。そういう活動にもつながっていきそうだと思ってる。

241:話を聞いてて感じたけど、マジでチャンスが巡ってきたわけやな。

Cody:そうだね。なんかね、やっと来たなって感じで。

241:そうか、やっと来たんだ。

Cody:「やっと来たな、これを待ってた」みたいな。おれもまだプレイヤーでやってるからこそ、そこに惹かれて来てくれるお客さんとかも絶対いるはずだから、期待を越えるような表現をここでやっていきたい。

爺ヶ岳スキー場に行った際には気軽にCodyと声をかけてほしい、きっと気さくに話してくれるだろう

白馬エリア最速でアイテムを設置

爺ヶ岳スキー場は12月8日からオープン中

Cody:オープン初日からアイテムの設置はしてる。12月14日までのプレオープン期間は1日券2,000円という安さ。パークの情報はInstagramのアカウントで発信してるから最新情報はそこを見てほしい。毎日、知り合いが来てくれてほんとに嬉しいよ。

まだまだ本気には程遠いが、すでにアイテムを3つ設置

241:パークができるまで爺ヶ岳スキー場のことをほとんど知らなかった人も多いと思うし、はじめて来た人は新鮮だと思う。イベントも企画してるって聞いたし、今シーズンおもしろくなりそうだね。

参考情報

中村航大(Cody):Instagram

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爺ヶ岳スキー場についての記事

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