インタビュー スノーボード

「目の前の今やれることを全力でやる」自身のスタイルと周りの評価の変化┃玉村隆インタビュー 後編

前編ではムービークルー『BLAZY』に焦点を当ててきました。後編ではタカシ自身の活動とマインドを深堀りしていきます。

見どころ

  • スノーボードのスタイルが変わっていった理由
  • 大会で結果を出してからムービー出演までのプロセス
  • オフトレで意識するべきこと
  • スノーボードと仕事について

競技志向のスノーボーダーだった頃

241:昔、JSBAのスロープスタイルの大会出てた時期あって、高井富士の大会で「ヤバいやつおるな」って思ってたらそれがタカシやってん。その時ってまだダブルコークってそこまでポピュラーじゃなくて、誰でもできる技ではなかったから記憶に残ってて。しかもフロントコークのダブルやってたよね。

──高校生の頃からそれくらい上手かったっていうことは幼少期からスノーボードをやってた?

タカシ:そうっす。自分で言うのもなんですけど、結構エリートでしたね。物心が付く前からやってました。小学生の頃は、ダイナランドに冬はこもって、中学生のときはスポーツ系の中学校に進学して、一冬全部休ませてもらって高井富士こもってましたね。その時のオフシーズンは週5-6でキングスに行ってました。めっちゃジャンプ思考やったんですよ。父親てきにはおれにオリンピックに出て欲しいみたいな感じで、ほぼコーチでした。

若かりし頃のNZでの1枚

241:大阪キングスに行くと毎回思うけど、熱心な親御さんが多いよね。

──スロープスタイルの大会を頑張ってた頃はどんな成績やったん?

タカシ:ノベンバーカップで優勝した記憶はあるんですけど、大会の成績自体は全然だめやったんすよ。めいほうビッグエアでプロに昇格したんですけど、その時キッズが全然おらんくて、FS720であがりましたからね。

──大会メインでやってたのに、ずっと勝てへんかったらつまらないよね?

タカシ:全然おもしろくなかったっすよ(笑)。競技志向っていうのがそもそも自分に合ってない感じがあって「全然おもしろくないわ」って思ってました。それが16-17歳くらいの話ですけど、しんどかったっすね。18歳で車の免許を取ったタイミングで父親に「自由にやらせてほしい」って相談して、そこからジブの方に傾倒していったっていう感じですね。

高井富士のディガーとして冬を過ごした

241:そう思いつつも、スノーボードのことはずっと好きやったんや。

タカシ:好きやったんすかね〜。昔からスノーボードしか知らなかったんで、他に意識が向かなかったのはありますね。

241:よくある話やと思うんやけど、結果が出なかったら遊んでグレるパターンもあると思うねんけど、それは大丈夫やったの?

タカシ:ああ〜、それは父親が怖すぎて無理でした。そんなんやってたらシバかれます(笑)。

スタイルが変わっていったキッカケ

──競技志向から表現志向になってスタイルも変わっていったと思うけど、どういう心の動きがあったの?

タカシ:前編で話した、ユウマくん(阿部祐麻)の話に通ずる感じです。昔、モニターライダーっていう形でANALOGからサポートを受けてた時がありました。撮影でユウマくんと高橋龍正くんと滑る機会があって、そのときに間近でかっこいいジブをちゃんと見たっす。

ANALOG冠のイベントで魅せるタカシ

241:スロープスタイルのつなぎのジブじゃないやつね。

タカシ:悪そうな動きしてる人のジブを見て「かっけえ」ってなりました。そこからジブをメインで頑張っていこうと思って猛練習する日々がはじまります。19歳くらいの時に、関東に出てきて、ちょうどその時、埼玉ブラッシュがオープンするタイミングと重なって、働かせてもらうことになりました。通年練習できるし、いい環境だなって思いました。

241:そもそも関西から関東に行こうと思った理由はなんだったの?

当初はスノーヴァ新横浜目当てでした。あとは自分をスポンサーしてくれてるメーカーも関東を拠点にしている会社が多かったのもあります。スノーヴァ新横浜に通うつもりをしていましたが、ブラッシュのほうがよさそうやなってなりました。

241:そっから自分のスキルを磨く生活が始まるわけや。

──冬までブラッシュで働いて、そこからシーズンの活動はどんな感じだったの?

タカシ:ブラッシュの所長がぼくの動きに理解があったので、冬はまるまる休ませてもらて、高井富士にこもらせてもらっていました。

──シーズン中の活動の軸はどんな感じだったの?

タカシ:序盤は高井富士で滑りながらジブの大会に出場しまくるみたいな感じでした。昔のほうが今より大会が多かったっすね。あとはFacebookで映像をひたすら投稿するみたいなことをやってました。

結果を追い続けた

大会で結果が出た後、ムービーに出演するまで

──大会で結果が出始めたのはいつくらいだったの?

ZETSURINのときっすね。スノーヴァ溝の口で予選があったときです。その年に代々木のスノーバンクも優勝して、一気に勝てるようになりました。

241:俺も出てたから覚えてるわ。初日と二日目どっちも優勝したときね。

タカシ:あそこから全部変わったっすね。俺に対する扱いとか(笑)。「そんなに変わる?」みたいに思ってました。そこからInk movieの出演も決まった感じっす。

──素朴な疑問なんやけど、Ink movieとかに出演するのが決まるってどういうプロセスなん?

タカシ:なんかEPICの人から電話きたんすよ。「撮影やるから、これる?」みたいな。

BLAZYの撮影があったから、ちょっと悩んで「一回考えます」って電話切ったら、カズさん(国母和宏)から電話がきて「いっしょにやろうよ」って。即答で「やります!!」って返事しました。背筋伸びましたね(笑)

241:それはもうサッカーで言うたら日本代表監督から「ワールドカップ行こうよ」みたいなもんに近いよな(笑)

タカシ:そのあたりから、やりたいことができるようになったっすね。

Photo by @itkgrm

──そこに至るまでにスノーボードの技術向上を突き詰めないといけないと思うけど、どういうメンタルでずっと滑って来たの?

タカシ:毎日滑ってました。ブラッシュで働いていて、練習する環境には恵まれてたんで、マジで毎日滑ってたっすね。秋までめっちゃ頑張って、10月くらいに一回病んでみたいな(笑)。毎年そんな感じのルーティンです。

サマーシーズンのアメリカにも出向いた

オフトレで意識していること

──オフトレって得意を伸ばすか、苦手を消すか別れると思うんやけど、どっちのタイプ?

タカシ:得意を伸ばすタイプっすね。スイッチも一切やらないんすよ。やらなあかんなと思うんですけど、得意な持ち技をもっと渋くしたいなって気持ちが強いです。

241:なんで得意を伸ばすことに行き着いたん?おれはやればやるほど苦手なことが気になってしまうタイプなんやけどさ。時間にも限りがあるから、どっちかしか選べへんのは分かってるんやけど。

タカシ:スイッチでイチから頑張って技を作るより、できやすい技をやったほうが絶対かっこよくできると思うんですよ。それが理由です。でも、スイッチはスイッチでやっぱり渋さがあるんで最近はちょっとやってます(笑)。メインスタンスもやりすぎると飽きるんで。

──上手くいかない日が続くと落ち込んだりするやん、そこからの立ち直り方ってある?

タカシ:やけ酒して・・・・んー、違うな。そういう悩みって絶対些細なことが多いと思うんですよ。それって、ライン取りがちょっと違うとか、頭の位置とか体の位置がほんの少し違うだけみたいな感じで。家に帰って映像をちゃんと見返したら、絶対に気付くっす。外国人の滑りとかコマ送りにして、自分の映像と見比べたら大体解決方法が分かるんで、意外と引きずることはないかもしれないっすね。

241:なるほど、感情論ではなく冷静に分析をするんやね。

タカシ:なんか、頻度高くやらないと不安になっちゃうんですよ。だからひたすら同じ技をやってしまう。でも、去年くらいから気付いてるんですけど、やりすぎてもよくないっていうのは確実にあります。

241:お酒と一緒やな(笑)。

タカシ:ほんまそうっすね。

オフの過ごし方と目指している姿

──スノーボードと仕事って切っても切り離せないことやと思うんやけど、オフシーズンは基本的にどうしてるの?

タカシ:基本はブラッシュの勤務がメインで、たまに朝にバイトしてますね。でもおかげさまでそんなにカツカツな感じではないんですよ。

241:「スノーボード一本で食べていくのは難しい」ってよく聞くけど、タカシはどう思う?

タカシ:ん〜、そうっすね難しいかもしれないっすね。でもいけそうな気はしてますよ。丸一年はそれだけっていうのは厳しいかもしれないですけど、リアルな話にはなってきててスノーボードだけに集中できそうな環境が出来つつあります。

241:なるほど、タカシは契約金をもらっているライダーということね。

タカシ:難しいっすけど、映像出して分からせてって感じっす。

Photo by @itkgrm

──この先、スノーボーダーとして目指すところや理想の形はある?

タカシ:いやあ〜、ぶっちゃけあんまりないっすね。今やれることをひたすらやりまくるって感じで、目の前のことに全力でいくっす。

241:いいね。目の前のことに全力でっていうのはタカシの滑りの姿勢を見てたら伝わってくるよ。

インタビュー:前編

  • この記事を書いた人

Takahiro241

年間滑走100日の横乗りLOVER。スノーボード歴15年、サーフィン歴3年、スケボー歴8年。ランニング、サッカー観戦、カメラなど趣味が多いです。

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