夫婦でスノーボードとサーフィンの動画をYouTubeチャンネルで発信している、ちびかな(以下かなちゃん)とかずまさ。かなちゃんはオリンピックを目指してFISの大会にも出ていたプロスノーボーダーで、かずまさはサラリーマンスノーボーダーとして滑りと撮影・編集で活躍しています。
2人とも滑り手としてスノーボード中心の生活を送ってきた経歴がある中で、2年前に第一子が誕生し、子育てをしながら自身のチャンネルで発信を継続。本マガジンでは、以前からファミリースノーボーダーへのインタビューを考えており、241が知る中で1番スキルがあって活動している夫婦に話を聞くことができました。
今回は子育てとスノーボードの両立のリアルな話を聞きつつ、子供が産まれる前と後でスノーボードとの関わり方がどう変わっていったのかを話してもらいました。読者の中にはちょうどライフステージの変わり目にいる人も多いはず。参考になれば嬉しいです。
Q:まずは2人がどんな風にスノーボードをやってきたかを簡単に教えてほしいな
かずまさ:スノーボードは大学1年生からはじめたかな。その時、雪マジ19がちょうど始まったくらいで「無料で行けるなら行こうぜ」って友達と滑りに行ってたのがキッカケで今に至るね。もともとスケートを小学5-6年からやってたから、レールとかジャンプに抵抗があんまなくて笑
「足が引っ付いてるスノーボードの方が簡単やん」ってなってそこからパークにハマり始めた覚えがある。
241:山に籠もったりとかしなかったの?
かずまさ:それは一回もない。一番やってた時で滑走日数が40~50日くらいだと思う。
241:籠もらなくてもあんなに上手くなれるんや。
かずまさ:学生の頃は全然成長しなかったんだけど、社会人になってMNGboysの4人に出会って、そこから頑張って上手くなった。それが25歳とか26歳くらい。大阪のCOW DAYの時はファイナルまで残って、総合10位だった。
241:よく覚えてるわ〜。あれはすごかった。アマチュアで最後まで残ったのは、かずまさだけやったもん。
Q:かなちゃんはFISの大会とかも出てたよね、スノーボードの始まりはどんな感じだったの?
かなちゃん:はじめてスノーボードしたのは中1とかだったんだけど、宮崎に住んでたから年に1~2回くらいしかやってなくて。その後やってない期間も結構あったけど、専門学校を卒業して18歳くらいから本格的にスノーボードを再開した。その再開したシーズンからスキー場に籠もって、そこから毎年の籠もり生活が始まったね。結婚する年になる27歳くらいまで続けてた。だから、トータル10年くらい籠もってたんじゃないかな。
241:気合い入ってたよな〜、アメリカで見た時上手すぎてびびったもん。スノーボードは何か目標があって続けてた感じだったよね?
かなちゃん:オリンピックに出たいと思ってた。だからナショナルチームに入るのを目標にずっと頑張ってたよね。
Q:良い成績を残してた印象だけど、最高成績はどんな感じだったの?
かなちゃん:表彰台には結構立ててたよ。始まりはJSBAの大会で優勝してプロになったところ。その他の大きい大会だと、PSAのプロ戦で2位と3位、FISの大会も3位、4位、5位を取ってるね。鷲ヶ岳のUNIONの大会でも優勝した。
Q:それだけ結果を残してても代表に選ばれないものなの?
かなちゃん:やっぱり若い子が選ばれるんだよね。FISのツアーを回ってた時、20代後半とか30代で優勝してる上手い人とかいたんだけど、代表にはあまり選ばれてなくて。次のオリンピックってなると数年後になるじゃん。だから将来性とか未来がある子たちが優先される傾向にあって、このままやってても選ばれない可能性が高いって思ったよね。結果的に最後の大会になるんだけど、神立スキー場であったプロ戦にレイラちゃんとここもちゃんが出場してて。まだ2人とも出始めの時くらいで、それまではその2人と張ってたんだけどその大会で負けて3位になった時に「これだめかな」ってなっちゃって。それで大会は終わりにした。
241:すごいレベルのところで戦ってるけど狭き門やねんなあ。ここまで話を聞いてると方向性は若干違えど、20代後半にかけて2人は頑張って滑ってたわけですね。
Q:そこから2人は結婚するんだけど、キッカケはなんだったの?
かずまさ:もともと一方的に知ってたんだよね。鷲ヶ岳で一回会ったことがあって「めっちゃ上手くて可愛い子おるなあ〜」って思ってた。妙高で石原はるな(Suica)に紹介してもらって、白馬のCOW DAYで仲良くなった覚えがある。
かなちゃん:白馬にかずくんの知り合いが全然居なかったんだよね。
241:でも愛が育まれたのはスノーヴァ羽島だったと認識してるよ。
二人:そうだね笑
かずまさ:毎週土日両方行ってた。
かなちゃん:私は、平日に週1くらいで行ってた。
かずまさ:会社が平日休みのことが結構あって、その時に滑った後ご飯に行ったりしたかな。スノーヴァ羽島はいろいろ思い出の場所だから無くなってしまったのは寂しいね。
Q:付き合ってから結婚まで早かったよね?
かずまさ:付き合って1年くらいで結婚したね。
241:お互いめっちゃ滑ってたわけやん。そんな中で、どういうタイミングで結婚しようってなったの?
かなちゃん:わたしは「27歳で結婚したい」っていう願望が元々あって笑。
かずまさ:沖縄でプロポーズしたなあ。もう結婚して3~4年経つね。
241:ここからは2人でやってるYouTubeチャンネルについて詳しく聞いていきたいな。
Q:2人がYouTubeチャンネルを始めたキッカケはなんだったの?
かなちゃん:YouTubeをやっていた知り合いに話を聞いて「試しにやってみようかな」くらいのノリで始めた。
かずまさ:最初は、すごく簡単に考えてて「GoProを頭に付けてコース滑るだけでいいや」と思ってたんだけど、それじゃだめそうだなってなってきて。初めはHow To動画の配信もしてたけど編集が大変で長続きしなかったね。あるタイミングでサーフィンの動画を上げ始めたら一気に登録者が伸びた。その体験か「上手くやればもっといける」と思って、サーフィンの撮影に力を入れて、俺が編集を担当するようになったかな。
241:2人の活動見てて「続けるって大事なんやな」っていうのを目の当たりにしたなあ。
かずまさ:やり始めた時から伸びるだろうなとは思ってた。こんなに上手いスノーボーダーは中々いないし、滑りが綺麗だし。ジャンプもめちゃ飛べるからね。だからチャンネルが伸びてよかったよ。
Q:今って登録者数は何人くらいになったの?
かずまさ:1万6,000人くらいだね。
241:すごいな!スノーボードはパークの調子が良さそうなゲレンデに行って撮影してたよね?
かずまさ:グラトリの動画って伸びやすいんだけど、パーク好きの自分としてはパークの楽しさをもっと知ってほしいなって思ってる。パークを知らない子からすると一般的に「怖い」とかそういうイメージが結構あると思う。自分たちの発信でパークの楽しさを知ってもらえたら嬉しいし、若手ライダーをピックアップしてるのは「日本にはこんなに上手い子がいるんだよ」っていうのを伝えたい。喋りも混ぜられたら、滑りだけじゃなくて人間性も伝わるよね。続けていくうちにそういうスタイルになっていったかな。
Q:子供ができたタイミングの時、かずまさは滑りに行ったりしてたん?
かずまさ:週1では行かせてもらってた。面会できなかったからHAKUBA47くらいまで行っちゃってたね。
241:かなちゃん的には問題なかったん?
かなちゃん:いや問題しかないよ笑 切迫早産っていつ生まれてもおかしくないっていう状態だからゲレンデにいたら、なんかあったときにすぐに来れないよね。その頃、本人は私の気持ちを考えずに楽しんでるわけじゃん。おちびちゃんねる(YouTubeチャンネル)の更新があるからまあしょうがないかなとは思って我慢してたけど笑
Q:子供がいる前と産まれた後でスノーボードとの関わり方って何か変化はあった?
かなちゃん:思ってた以上に滑る時間がないなって思った。交代しながらだったら結構滑れる時間あるかなって思ってたけど、難しいよね。
かずまさ:家からだったら鷲ヶ岳と高鷲スノーパークが近いんだけど、それでも片道2時間くらいかかるから、子供に負担がかかる。17時には家にいたいって考えるとスキー場は15時には出ないといけないし、2時間滑って交代だからスキルが衰えないようにするだけで精一杯だよね。
Q:子供が生まれる前はもっと滑れると思ってた?
かずまさ:おれはこれくらいだと思ってたかな〜。
かなちゃん:え〜ほんとに?わたしはもっと滑れて、スキルも維持できると思ってたけど、実際は時間が全然ないから、体感的にはスキルが落ちてるような感じはする。
241:17時に帰らなあかんとか、滑れる時間が減るっていうのが一番の原因かな?
二人:ん〜、そうだね。時間が減るっていう部分の難しさはかなりあるね。
241:もし山の近くに住んでたらなにか変わりそう?
二人:そうだね。かなり滑れる時間は増えると思う。今は移動時間がかなりネックになってる。
かずまさ:サーフィンの方がまだやれる時間がある。朝、子供が寝てる間に家出て、2時間くらいやって家に戻ってくれば全然影響ないからね。そういう面ではサーフィンの方が子育てと両立しやすいよね。ほんとにスノーボードは山までの距離の問題が大きい。
Q:日本のリゾートは子連れだと結構不便っていう話を周りから聞いたりするけど実際はどうなの?
かなちゃん:不便を感じる場面はあるよ。子供が産まれるまでは考えたこともなかったんだけど、去年子供連れて行ってみると、授乳室とかおむつを交換する台、キッズスペースが全然なかったんだよね。車で授乳とかおむつを替えるにしても車までが遠かったりして。毎回、車へ行くのは大変だから、本当はセンターハウスにそういう設備があって欲しい。実は授乳室とかおむつ交換台があるところっで限られていて、岐阜だと2~3つくらいしかないと思う。それでも結構恵まれてるとは思ってるけどね。
かずまさ:子供が小さいとほんとスノーボードは難しいなあと思う。
かなちゃん:4歳くらいになってくるともう少し楽になるかな。
かずまさ:前段でも話したけど、日帰りで滑る時間が限られてるから、なるべく設備が近くにあってほしいんやけど、センターハウスとは別の棟にあったりするパターンもあって時間がかかったりする。あと、子供を抱っこして雪の中を移動するのも結構大変だったりね。
かなちゃん:ホームページにはキッズスペース有って書いてても、実際は微妙なものだったりすることもあるよね。
かずまさ:おむつ台が女性のトイレの前にしかないということもあってちょっと使いづらかったなあ。
241:なるほどなあ、子供が産まれるとスキー場へ求めるものが今までと変わってくるんやね。
Q:2人でやってるYouTubeチャンネルの方向性は変わったりしそう?
二人:そんなに変わらないと思う!
かずまさ:俺らは普通の社会人でYouTubeだけをやって生活してるわけじゃないから、貴重な時間をかけるのであれば、再生数が伸びてほしいと思ってる。ちゃんと需要がある動画を作りたいし、チャンネルを見てくれてる人は上手いライダーの滑りとか、今のパークがどうなってるのかを見たいはず。ただのライフスタイルを配信してもそこまで需要がある気はしてない。ライダーを撮るのが好きってのもあるし。
かなちゃん:わたしも同じ意見!
241:なるほど~。配信を続けてきて、いろいろ見えてるんやね。今年の冬も更新されるのを楽しみにしてる!
Q:今シーズンはどういう感じで動いていこうと思ってるの?
かずまさ:マックアースのシーズンパスは買ってて、今年も高鷲スノーパークとか鷲ヶ岳をメインに滑ろうと思ってる。子供が少し大きくなったから、遠方のスキー場に行けたらいいなあとは思ってる。
かなちゃん:確かに遠征には行きたいなあ。
かずまさ:去年はUZUMAKIには行ったよ。お母さんも来てくれたから子供の面倒は見てもらって、その間に撮影できたしいい思い出になったなあ。
241:話を聞いてると2人は横乗りやめるとかなさそうだね。変わらず滑り続ける?
かなちゃん:ライフスタイルだからね、やめるとかないし続けたいね。でももし2人目の子供ができて「寒いの無理、行きたくない」って言い始めたら行けないかもしれないし笑
かずまさ:逆にスノーボードで世界を目指す子に育つかもしれないし。
かなちゃん:かずくんの夢はビッグキッカーで子供とトレインして720回すことだもんね。
かずまさ:そうそう。だから毎年、必ず720回してるのよ笑
毎年必ず720に挑戦している
Q:ライフステージの変化でスノーボードの楽しみ方は変わってくる?
かなちゃん:変わってくるよ。今までは自分のスキルをあげるのに必死だったけど、今はとにかく楽しむって感じ。
かずまさ:夫婦2人で久々に滑るタイミングとかおもしろいよ。去年のUZUMAKIとかも久々に一緒に滑れて楽しかったよね。どっちもガッツリ滑り手だし。
かなちゃん:1人で滑ってもつまらないから、一緒に滑りたいよね。
241:将来的には子供も含めてガンガン滑っていけたらかっこいいな。
かなちゃん:子供がパークに入れるようになったらガンガン滑るかもしれない。
241:2人の子供とかまじでうまくなりそうだよね。
かずまさ:その頃までおちびちゃんねるも続けて娘が上手くなる過程も発信できたらおもしろいと思ってるよ。
でも、MNGboysのくりちゃんとはっしーが今年ストリートのパートを上げてるのを見て「あれはやりたかったなあ」って思ったね。それはだけは心残り。
今は子供もいて仕事続けられなくなったらやばいから怪我できないし、よーやらんわ笑
241:横乗りより大事なことも人生にはあるよね笑