スノーボード

BURTONのStep On(ステップオン)で滑ってみた┃かがまずにバインディングを装着できる画期的なシステム

2022年5月11日

腰椎の骨折から1ヶ月過ぎて状態は良くはなってきているものの、腰を曲げてかがむ動作はまだ痛みます。普通ならこの段階で雪上に戻るという発想にはならないと思うのですが、かがまずにブーツとバインの着脱が可能なBURTONのStep Onを友人から借りていたことを思い出しました。もう自分の中では「もしかしたら滑れるかもしれない」という名案が思いついた感じで脳がギンギンに冴え渡ってましたよ。というわけで、いつものBENT METALのバインディングをStep Onに付け替えてHAKUBA47へ向かいました。

ジェイクバートンがStep Onを作った理由

なぁもうすぐ俺も60歳だよ。こうやって40年も毎回腰をかがめて足元のストラップを締めてきた。そりゃまだできるよ。でもなぁ、やらなくていいんならやりたくないね。

スノーボード生んだ男 ジェイクバートンの一生より

昨年発売されたジェイクバートンの伝記の中にStep Onの開発話があります。冒頭の引用はそこからの一節で、60歳になったジェイクが毎回腰をかがめてバインディングを履くのに負担を感じ、それをしなくてもいいようなバインディングを作ろうとなったのが誕生のキッカケだったそうです。

ウェブの広告などではStep Onは着脱の早さや楽さを売りにしていますが、開発の背景には「腰をかがめなくてもバインディングを装着できる」というところが重要視されてたんですね。ということは、腰椎を負傷していてかがめない自分にとってStep Onはまさに救世主。

「こんな状態だからこそStep Onの本当の価値をレポートできるんじゃないか」

(あんまり長時間立ってられないくせに)いても立ってもいられなくなりました。

BURTON Step Onの仕組みと履き方

Step Onはブーツのかかと部分の突起と足の甲の両サイドの突起の3点をバインディングにはめ込むことで固定するシステム。脱ぐ時はヒールのレバーを引いて足を前に出せば一瞬で外れるので、慣れれば一瞬で履くと脱ぐを行えます。

ブーツはboaシステムのSWATH(柔らかめのブーツ)
黄色◯がバインにはめ込むブーツの突起
Re:Flexのベースプレートなら他社ボードにも装着できる

Step Onなら腰が曲げられなくてもスノーボードができるのか

結論からいうと、ほとんどかがむことなくバインディングの装着に成功。4月20日くらいに撮影で普通のバインディングを履いた時は寝転がって死ぬ気でつけましたが、Step Onだと初めてでも10秒くらいで直立したまま固定することができました。マジでサンキュージェイクさん!

今だからこそ分かる、かがまないで着けられることへの喜び

しかし、脱ぐ時は少しかがまないとだめでした。履く時は足を突っ込むだけなのですがStep Onはヒールのレバーを引いて脱ぐ仕組みになっていて、そのレバーにはかがまないとアプローチできなかったです。これが腰椎負傷者にはちょっとしんどかった。

とはいえ通常のバインよりも楽だったのは間違いなかったですね。

ヒール下部のレバーを上げることで着脱が可能

Step Onで何本か滑ってみた

GWも終盤の5月6日、気温が上がりきる前の板が走りそうな時間帯を狙いました。

滑りの感触は従来のストラップのバインと大きくは変わらなかったと思います。トゥストラップがないのでなんとなくトゥの締め付けが無いのを不安に感じる部分はありましたけど、外れそうな感じはしませんでした。ジェイクバートンの本でもテリエがテストライドしてゴーサインを出したと書かれているので、製品としての強度とかレベルは心配しなくてもいいのかなと思っています。単純に「ストラップが無いのに慣れてるか慣れてないのか」この差だろうなと感じました。

ただ、まだ現実としてBURTONのライダーであっても多くのフリースタイルライダーが使ってません。今回使ってみて感じたのは、その理由がプロダクトのレベルというところではなくて足回りの感覚的な部分で見送っている気がしています。感覚ってめっちゃ重要なポイントだと思うので、一度ストラップで築いてきたモノをStep Onにアジャストするのは大変なのかもしれません。

Step Onの評価

いいと思ったところ

  • ブーツは想像以上に軽い(金属が付いているから重いという心配はない)
  • 慣れれば一瞬で着脱が可能
  • かがまずにほぼ直立の状態でバインとブーツを固定できる
  • 慣れればストラップのバインの感覚と変わらず滑れるようにはなりそう
  • 他社がライセンス買ってるので今後はBURTON以外の選択肢も出てきそうなのはおもしろい

気になったところ

  • トゥの部分の横への動きが気になる、感覚的には脱げそうみたいな(実際には外れないが)
  • ディープパウダーの場所で雪が噛みそうなのは心配
  • システムがトラブった時トリップ先でパーツの交換等の応急処置がしずらい
  • BURTON所属のフリースタイラーでの使用率が未だに低いところ
トゥで止めているところの遊びが大きいように感じる

241の小言

これはStep Onとは直接関係のない話ですが、Re:Flexのプレートでももう少しスタンス幅を微調整できるようにして欲しいなあと思います。まあBURTONのバインディング使うならBURTONの板乗れっていうメッセージだろうなとは思ってます。

まとめと感想

はじめてのStep On、率直な感想としては新しい体験ができて楽しかったです。スノーボード歴が長くなればなるほど新しいものにトライしなくなってく気がしていて自分もその一人でした。正直、Step Onがでたときも「ふーん」くらいのテンションで、中々トライする機会もなかったんですが腰椎を怪我してかがめない状態の時に、Step Onはかがまなくてもバインを着脱できることを思い出しました。

まだそんなに滑れる状態ではないですが、なんとしてもシーズアウトは雪上で仲間たちと同じ時間を過ごしたかったのでそれができてよかった・・。1-2本滑って帰ろうと思ってたんですけど、かがまないことで腰への負担が最小限になりしんどくならなかったので10本くらい滑れました!

怪我して落ち込んでいましたがこうやって最後に最高の思い出ができて、あらためてジェイクバートンさんには感謝したいです。

天気も最高でした

参考文献

  • この記事を書いた人

Takahiro241

年間滑走100日の横乗りLOVER。スノーボード歴15年、サーフィン歴3年、スケボー歴8年。ランニング、サッカー観戦、カメラなど趣味が多いです。

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