スノーヴァ新横浜のライダー制度が廃止
なにやらスノーヴァ新横浜が長年あったライダー制度を廃止するらしい。ライダー制度は新横ライダーなら無料で施設を利用できるというもので、ライダーとして認められていた方たちが中心になって施設を盛り上げていた。この制度というか慣習はスノーヴァでパークが盛り上がった10年以上前(へたすりゃ20年?)から恐らくあって、該当するライダーたちがジブのレイアウトを提案したり、イベントを企画したり、レッスンをしたりして、集客やシーンの盛り上げを行ってきた。
だそうです。 pic.twitter.com/rJYvQTbhLy
— Manato Chiba (@MA7TeeeeeV) February 28, 2023
本件に関して事実は知らないので、ここからは241MAGAZINEの私的見解ということは断っておきたい。
この告知を見て「時代の終わり」「なんもわかってねえ〜」と言っておしまいにするのは簡単だ。過去にスノーヴァ溝の口に通い詰めたおかげで上手くなった自分としてはスノーヴァ新横浜のジブシーンが存続して欲しい。なので、どうすればこうならなかったのかを考えたい。どうすればこの制度は存続していたんだろう。
また、ジブの設置についても議論がなされている。こちらはまだ公式からの発表はないが、Twiter上ではジブも廃止される可能性が高いという見方がある。本記事ではジブアイテムについても廃止の方向で進んでいるという前提で進めさせていただく。
支配人側と我々の視点、その中でどういう風に立ち回ればよかったのか。スノーヴァ新横浜が見据えているであろうビジョンを推察し、それを踏まえて我々は何をすべきかということを考えてみた。
支配人側と我々が感じていることのギャップ
仮設として支配人側と我々コアスノーボーダーから見ている景色に大きなギャップがあるかもしれない。ここでいうギャップというのは、お客さんがどのくらい施設に来ているかの感じ方のギャップだ。
我々の視点
昨年は施設に行く機会が無かったのでSNSを見ての実感値にはなるが、ジブを置いていることによってお客さんがそれを目当てに来ているように見える。ジブの設置日は決まっていたように思うが、自分の周りではその日を狙って施設に行くという人が多かった。また、スノーヴァ新横浜のライダーが主催するイベントにも多くの人が参加していたし、そのイベントでメイクするために施設に通ったり、シーズンに向けてスキルアップをしたいユーザーも多く、施設の盛り上がりにジブ(パークアイテム)が寄与している部分を感じていた。
支配人側の視点
慣習的にジブを設置しているが施設の売上は数年横ばいだ。ただ横ばいが続いて赤字がないのならいいが、昨今の電気代の値上げでこれまで通りというわけにもいかなくなってきた。ジブを目当てに来てくれているお客さんも多いが、ジブのメンテナンスのためにかかる人件費もあり、利益としてはなんとも言い難い。SNSでジブが盛り上がっているというが、実際はどうなのか見てみよう。なんだ、SNSで流れている動画は弊施設で無料で滑っているライダーばっかりじゃないか(かっこいいからSNSで上位に出ちゃう)。我々のこの制度意味あるんだっけ?
なんてことは全て俺の想像だが、支配人側の見え方としては全然有り得そうだと思う。
適切な報告を行えていたのかどうか
じゃあどうすればよかったのか。このギャップを埋めるためには支配人側への適切な報告が必要だったんじゃないかと推察する。
適切な報告とは
ここでいう報告とは「ジブが盛り上がってます」とか「イベントもレッスンも盛り上がってます」という定性的なものじゃなく、"ジブがあるときの方が売上が上がっていること"を報告しなければならない。施設維持にはお金がかかる。残酷だが好きなこと続けるためには売上をあげないといけない。もし平バーンの時とジブ設置の日で売上がそんなに変わらないのであればジブ設置の人件費分は利益が少ないことになるし、逆に人件費を差し引いたとしてもジブ設置の日の方が利益が多いのならこっちにも理はある。
報告の材料をちゃんと集めていたのか
では"ジブがあるときの方が売上が上がっていること"を示すための材料集めはちゃんとできていたのだろうか。平バーンの日とジブ設置の日の売上比較は簡単にできそうだし、さすがにそれはやっているだろう。だから比較した結果「売上の差が微差なら無くてもそんなに変わらなくない?」となっている可能性はある。だからここであと一押ししたい。自分ならどうするかと考えてみたが、来場客へのアンケートの実施は材料の1つとして意味がありそうな気がする。
- 何を目的にこの施設に来ているのか
- どれくらいの頻度で来ているのか
- ジブのイベントに参加したり新横浜ライダーのSNSを見ているかどうか
- 友人を誘ってる連れてきたことがあるか
もっとありそうだが"ジブ目当てに来ているお客さんは、年に何回も来てくれてさらに新規ユーザーを連れてくる太い客"っていうのをどうにかして報告したいし、ライダーの活動のおかげで施設に来ているっていうのも示したい。
アンケートに答えてくれた人に、次回初回の友達を連れてくると半額になるみたいなクーポンを付ければ新規ユーザーが来る接点も作れそうだし、もっとやれることはあったんじゃなかろうか。スノーヴァくらいのお客さんの母数であれば地道にリアルな声を集めたほうがよさそうだと思う。
※もし既にやっていたら本当にごめんなさい
スノーヴァ新横浜が見据えている(だろう)こと
売上が横ばいならテコ入れをするしかない、なぜなら維持費が上がるから現状維持では赤字。収益をあげないと施設を維持できないからである。
スノーボード/スキー体験施設としての道
スノーヴァは我々みたいなコアユーザーの専門施設ではない。過去にスノーヴァ溝の口に通っていた時の話をすると、コア層が来ない昼間の時間帯は小学生のスキー体験とか団体アクティビティ客を受け入れて単なる雪上体験施設として稼働していた。スノーヴァ新横浜もそっちの筋で伸ばしていくみたいなことは全然あり得るだろうし、恐らく既にやっているだろう。だからアクティビティ体験施設として振り切る道は1つある。スノーチュービングとか、関東近郊ならウケるのか?それにしてはスロープ短すぎる気はするが。
新規顧客の獲得
パークアイテムがあることで施設に来づらいと思っている層は一定数いるはず。カービングとか単純に滑りたいスキー層のイメージだ。単発での需要はありそうだが、施設に通うみたいな世界観はあるのだろうか。平バーンになることでどうなるのかは一つの見ものではある。ジブじゃなくてグラトリレッスンみたいなのは需要ありそうだし、これはこれで新しいカルチャーが誕生する可能性もある。
どうやってライダー制度とジブを復活させるのか
諦めるのは早い。支配人は我々への理解がないと諦めたらそこで終わりだ。決まった舵取りはすぐには変えられないし、このオフの復活はもしかしたら難しいのかもしれない。
でも、スノーヴァのこの判断が本当に正しかったかどうかを査定するのは売上でしかないはずだ。ここからのスノーヴァの動きをウォッチし続けて、ジブがあった頃の方がよかっただろっていうのを証明するチャンスを伺うしかない。今までライダー制度とジブを続けてくれたんだから理解がある人だと思う。だからライダーと支配人との対立構造ではなく、施設を一緒に盛り上げていくパートナーとして諦めず提案し続ける必要がありそうだ。それができないのであれば存続は難しいだろう。
まあでも本音言うと、イケてるライダーはこんなこと気にせずイケてるライディングだけを考えて滑り続けてくれって思うんだよね。NISSAN X-TRAIL RAIL JAMみて思ったけど、あれは本当にプロフェッショナル専門職の職業だし、一流ライダーはこんな細かいこと考えず、かっこいいことだけやってもらいたい。スノー業界も舞台を整える人が別に必要だとは思う。稀にどっちもできる人もいるけど、どっちがすごいとか偉いとかないし適材適所が大事。
というわけで、もしスノーヴァ新横浜復活のプロジェクトがあるなら自分をメンバーに入れてください。笑
最後に:スキー場でも同じことが起こる可能性はある
これは屋内ゲレンデだけの単純な話ではないと思う。この流れがもしスキー場にまで波及するようなことがあれば我々の遊び場はどんどん縮小されていってしまうし、縮小されることで下の世代がパークに触れる機会も減ってしまう。俺はパークが好きだし無くなってほしくない。
最後に言いたいことをまとめると──
- 仕掛ける側は舞台を提供してくれてる人に対して適切な報告をしよう
- その報告に必要な数値で証明できるものを用意しよう、比較しよう
- お客様として滑っている我々は仕掛け人に協力しよう、そしてできる限り発信しよう
- 周りの人や新規の人も誘って施設を利用し続けよう
スノーヴァ新横浜、去年たくさんジブ練習させてもらったので残念です。
— 千太郎 (@s_blacky) February 28, 2023
色々あると思いますが、もっと僕がたくさん通って、周りも誘って、たくさんお金落とせたら結果が違っていたのかなぁと反省します。
ライダーさんに好き勝手やってもらうためにも、僕ら素人がしっかり課金しないといけなかった。
またスノーヴァ新横浜でジブセッションできる日を楽しみにしている。
↑昔マナトくんの動画に出させてもらった思い出